「RFT(Reinforcement Fine-Tuning)」って何だろう?

最近OpenAIが力を入れている、新しいAIの調整方法「RFT」を、わかりやすく解説します。
【①RFTってなに?簡単に】
「RFT(Reinforcement Fine-Tuning)」は日本語で、
- Reinforcement → 強化(報酬をあげて伸ばすこと)
- Fine-Tuning → 微調整(ちょっと直して上手くすること)
つまり、「報酬を使ってAIをちょっとずつ調整して賢くする」方法です。
具体的には、AIが何かをしたときに、「いいね!」と報酬を与えてあげることで、AIが自分から良い行動をとれるように成長させます。
「Reinforcement(強化)」の語源はフランス語とラテン語にさかのぼります。
語源: 「reinforcement」は、英語の「reinforce(強化する)」に「-ment(〜すること)」が付いた名詞です。
「reinforce」は、古フランス語 re(en)forcier に由来し、
さらにさかのぼるとラテン語 re-(再び)+ infortis(強い)=「再び強くする」という構成になります。
つまり、reinforcement は文字通り「再び強くすること」や「補強する行為」という意味から来ていて、心理学やAIでの「強化学習」でも、「望ましい行動を強くする仕組み」としての意味が自然に繋がっています。
AI文脈でもピッタリな語源ですよ。
【②従来のやり方と何が違う?】
これまでAIの調整には主に「教師あり学習(SFT:Supervised Fine-Tuning)」という方法が使われていました。
-
従来(SFT): AIに大量の「正解」を覚えさせて、真似をさせる方法。
- → 大量の正解データが必要で、データの範囲外は苦手。
-
新しい方法(RFT): AIが自分で試行錯誤しながら、「いい行動」を探せる方法。
- → 少ないデータでもうまく学習でき、未知の状況にも対応できる。
たとえるなら:
- SFTは「正解の答えを暗記させる勉強」
- RFTは「問題の解き方を自分で工夫する勉強」
と言えます。
【③RFTの仕組みをかんたんに】
RFTは「強化学習(RL)」という方法を使っています。強化学習はこんな感じで進みます:
- AIが何かをやってみる(出力する)。
- その行動に対して点数(報酬)がつけられる。
- 点数が高い行動をAIは学び、次はもっと良い行動ができるようになる。
ゲームみたいな感覚ですね!
例えばゲームで敵を倒したら得点が入り、次も敵を倒そうとするのに似ています。
【④OpenAIが使うRFTのやり方】
OpenAIが実際にRFTをどうやっているか、簡単にまとめます。
- 最初にすごく賢いAIモデル(GPTなど)を準備する。
- 特定の問題に対して、「良い答え」「悪い答え」を判定する仕組み(グレーダー)を作る。
- AIが出した答えをそのグレーダーが評価して、良ければ報酬を与える。
- 報酬がたくさんもらえるように、AIが自分自身を微調整していく。
こうしてAIは「答えそのものを覚えるだけでなく、良い答えを出す方法まで理解していきます」。
【⑤RFTのいいところ・注意点】
🌟 RFTのメリット:
- 少ないデータでも上手く学習できる。
- 専門分野のような難しい問題にも対応できる。
- 未知の問題にも柔軟に対応する力がつく。
⚠️ 注意点:
- 報酬の設計をミスすると、AIが変な方向に学習してしまうこともある。
- 強く調整しすぎると、もともと持っていた知識を忘れてしまうこともある。
なのでRFTを使うときは、「良い報酬の設定」と「慎重なチェック」が大切です。
【⑥RFTってどんなことに使える?】
RFTが得意な分野はたくさんあります。
- 質問への回答(医療や法律など専門知識を必要とする質問)
- AIによる文章の要約やコード生成
- ロボットを賢く動かすこと
たとえば、OpenAIは患者の症状から病気を当てる医療分野で、RFTを使ってAIの精度を大幅に向上させました。
【⑦これからのRFTはどうなる?】
RFTがさらに進化するとこんな未来が期待できます。
- 少ないデータで誰でも高性能な専門AIを作れるようになる。
- 自分の好みに合わせてAIをカスタマイズできる。
- AIがユーザーの反応から自動で学んで進化していく。
ただし、そのためには以下のような課題もクリアする必要があります。
- 大きいモデルで学習させるときのコストや時間の問題。
- 安全性や倫理的問題(AIが間違った学習をしないようにする)。
- ユーザーからのフィードバックを適切に取り入れる方法。
これらの問題を慎重にクリアしながら、RFTはますます身近になっていくでしょう。
【まとめ🌱】
RFTとはつまり:
「AIに『いいね!』の報酬をあげながら、少しずつ試行錯誤で賢くさせる、新しい学習法」
と覚えておくと良いですね。